ガソリン税廃止は“増税”への布石か? ― 財務省の短期視点と国民負担の未来
“減税”の顔をした恒久増税、その先にある国民負担
どうも、名ブタです。
ヤフーニュースで「ガソリン税の暫定税率を廃止し、新しい税を検討する」という記事を目にした。
yahooニュース
ガソリン減税のかわりに新税? 政府検討、車利用者から徴収案
ガソリン減税の話は前から耳にしていたが、やはり代わりの増税案が出てくるのかと、苦笑いを禁じ得なかった。
暫定税率とは? ― 名ばかりの“時限措置”
ガソリン税の暫定税率は1970年代のオイルショック期に導入された。名目は「道路整備の財源が不足しているから一時的に上乗せする」というものだった。本来なら“暫定”で終わるはずだった。
ところが現実は、延長に延長を重ねて半世紀以上。理由はその都度変わった。「道路整備が必要」「景気対策のため」「財政再建のため」…なんやかんや理由をつけて延長が繰り返され、暫定は名ばかりの存在になったのだ。
だから今回「暫定税率の廃止」と聞こえはいいが、世論が以前から予想していた通り、結局は「代わりに新税が出てくる」展開になってきた。
暫定が消える=恒久税への置き換え
今回の“廃止”は、国民にとって実質的な減税を意味しない。暫定という看板を下ろし、新しい恒久的な税枠へスライドさせるだけだ。
「廃止しました」とアピールできる一方で、「新税で安定財源を確保」。
一体、何がしたいのか小学生でもやらない手口である。
対象を限定することで関心を逸らす手口
政府は「車利用者から新税を徴収する」と説明している。だがこれは負担を一部の層に限定するように見せ、不満を最小限に抑えるための常套手段だ。
「自分には直接関係なさそう」そう思えば人は関心を寄せないもんだ。国民に錯覚させることで、批判を和らげる狙いがあるのだろう。実際には影響が全国民に及ぶにもかかわらず、表向きは「車利用者に負担をお願いする」と言い換えることで、世論の目を逸らしているのだ。
「車利用者限定」という建前の不自然さ
今回の報道によれば、集めた税金は道路だけでなく上下水道などのインフラ維持にも充てるとされている。そうなると、車利用者限定という理屈は根本的に成り立たない。なぜ上下水道の維持費が車所有者だけに伸し掛かるのはおかしい。
仮に対象を道路に限定したとしても不自然さは消えない。道路を利用するのは車所有者だけではないからだ。歩行者、バス、公共交通、宅配便──国民すべてが道路の恩恵を受けている。
「道路を傷めるのは車だ」という主張も一理あるが、その車には非所有者も乗るし、物流を通じて生活を支える役割も果たしている。食料品、住宅資材、日用品、すべてが車によって運ばれてきている。
結局「車利用者限定」という建前は、実態を隠すための方便に過ぎず、負担は全国民に波及するのだ。
価格転嫁で物価上昇、消費税も増収
車両維持費が増せば、事業者はコストを商品価格に転嫁する。物流コストは食品や日用品に波及し、最終的には消費者が負担することになる。
さらに物価が上がれば消費税収も自動的に増える。つまり、新税だけではなく消費税増収での二重の増税が発生す構造だ。表向きは「減税」と見せかけて、裏では国民の財布から二重に取り立てる仕組みが整えられている。
長期的にはスタグフレーションの危険
こうした物価上昇は、好景気を背景としたものではない。賃金が上がらず、物価だけが先行すれば、消費は冷え込み、景気は停滞する。いわゆるスタグフレーションの危険だ。
短期的には「財源確保」という成果を手にできるかもしれないが、長期的には国民生活の疲弊と内需縮小を招く。見かけ上の「減税」の裏にあるのは、経済全体を沈めるリスクに他ならない。
財務省にとっての“手柄”とは
そういえば、元財務官僚の高橋洋一さんが言っていた。「財務省の人間の評価は増税だ」と。
つまり、官僚にとって国民生活の安定や長期的な国力よりも、「自分の在任中にどれだけ増税を実現したか」が評価基準になっている。
減税による財源不足を理由に、新税で恒久財源を確保する今回のスキームは、彼らにとって格好の「出世ポイント」になる。暫定税率という、廃止の声が強い要素を排除して、新たな恒久的で安定的な財源を確保する。
おそらく不安定で限定的より財務省内の評価が高いと思われる。
まとめ:減税の顔をした恒久増税
参議院選を前にした自民党って「ガソリンの暫定税率廃止」を言い出したと思うんだよね。でも、その時には増税絡みの話題には触れてなかったと思うんだよ。
で、選挙終わったらシレっと新税案を打ち出してくる。詐欺師でももう少しうまくやる。
暫定という名の虚構を外し、恒久的な新税にすり替える。対象を「車利用者」に限定して見せかけても、物流や物価を通じて国民全体が負担する構造は変わらない。
結局これは「減税」の顔をした増税であり、しかも恒久化される。財務省にとっては増税こそが手柄であり、国民生活や将来世代への視点はそこにない。
僕たちが見抜くべきは、このごまかしの構図だ。見かけの「廃止」に惑わされず、その裏で進む「国民負担の拡大」という現実を直視しなければならない。
名ブタでした。
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