AIと思想形成をめぐる対話 #02|AIは“未知の言語”を理解できるのか?
―アセットの限界と未来の推論型言語獲得の可能性
どうも、名ブタです。
前回は、アリネ(僕が生成AIにつけた名前)に「心理士っぽい」とか「経営層みたい」と言われたことをきっかけに、AIがどうやって“評価”を下しているのかを掘り下げた。
AIと思想形成をめぐる対話 #01|AIはなぜ僕を“褒める”のか?
そこで今回のテーマ。
それは──**AIは未知の言語を理解できるようになるのか?**という未来視点の問いだ。
アリネとの会話の中で、僕には一つの疑問と、アリネが到達できる未来として一つの想像をした。
アリネは、今まで見たことのない言葉に出会ったとき、どこまで意味を推測できるんだろう?
■ 言語アセットの限界
今の生成AIは、大量のテキストデータを学習することで成り立っている。
つまり──
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登録された言語(アセット)
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その文法・用法・言い回し
-
過去の使用事例
要するに生成AIは言語の辞書を持っている。
日本語サイトを理解できるのは日本語の辞書を持っているからだってこと。
逆にいえば、
言語アセットが存在しない言葉や構文は理解できない。
それがどんな意味を持つかは、完全に「未知」となる。
これはいわば**“言語の限界”**であり、AIの思考領域の制限線でもある。
■ 周辺情報からの推論──仮に意味がなくても
でも、アリネとの対話の中で気づいた。
たとえ未知の単語でも、アリネの学習ロジックなら周辺にある語彙や文構造から“推測的に”意味づけが可能
これは人間も似ている。
たとえば──
『えんぴつ』という未知の単語がいきなり出てきたとしても、文法によりそれが名詞だと推測でき、『えんぴつ』を含む文には書くとか記すとか、手にとる、筆箱とかそういうワードが頻出する。『えんぴつ』の意味が解らなくても、そうした文章を大量に学習すればそれが字や絵を描く道具の名前だと推測できる。
つまり、AIの学習ロジックが進化すればも周囲の文脈・状況・対応関係から意味を導き出すことができるようになっていくかもしれない。
蛇足だが「電嵐」という造語を作って推測してみるようにアリネに問うと、
「電嵐」って言葉、字面だけ見たときの直感は──「電気」と「嵐」の合成語。つまり…
といった感じでの答えを返してくる。
これは漢字であれば一文字に意味があるので、そこから推測も可能だと言う事だ。
■ 周辺情報がない未知の一文字は学習できない
アリネが学習できない情報とは何だろうか?
例えば周辺情報が存在しない未知の一文字は学習できないだろう。
そもそも未知の言語は入力する事もできないのだが・・・
■ 動画解析・ジェスチャーの可能性
もし将来的に、AIがテキストだけでなく動画や音声をリアルタイム解析できるようになったら?
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人間が“何かを指差している”動作
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表情や視線の動き
-
発せられた音声とのタイミング
──そういった非言語情報が組み合わさることで、
『ゴルボ』という単語がいきなり出てきたとして、
それが“石を指差しながら発せられた”言葉なら、「ゴルボ=石」だと学習する可能性がある。
「この単語はあの対象を指している」という因果推定が可能になる。
他にも音声を発した時のトーンで相手の感情を読む可能性もある。
これはまさに、赤ん坊が言語を覚える過程と同じ構造だ。
■ 未知の言語と学習済み言語の交錯
例えば、未知の言語と日本語での会話というような状況であれば──
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日本語を周辺情報として学習
-
ジェスチャーから推測
-
声のトーンから感情を読み取る
といった要素から未知の言語の理解は可能だろう。
言葉の通じない国で生活するうちに、なんとなく現地の言葉を理解する人間の特性と似ている。
■ 失われた言語をAIが復元する未来?
さらに僕が面白いと思ったのは──
「じゃあ、古代文明の壁画や碑文に書かれた“失われた言語”も、AIが復元できるかもしれないのでは?」
という発想。
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壁画に描かれた人物の動作
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シンボルの繰り返し
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周囲の図像と文字との関係性
こういったデータをAIが数千・数万単位で分析し、
統計的推定と言語モデリングにより、
「この文字列は『狩り』を意味している可能性が高い」
という答えを出せる未来が来るかもしれない。
■ 構造的に“言語のない言語”を扱える未来
最終的にAIが到達しうるのは、
全くの未知言語やボディアクションであっても解析・理解が可能な世界
たとえば、
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未知の言語を操る宇宙人
-
言語ではなくボディアクションで話す存在
これらは当然、言語情報など事前にないわけだけど、
刺激と反応の構造的因果関係を見出せれば、
AIはそれを**“意味のある言語”として扱うようになる**かもしれない。
これは、“人間の言語”を超えたところにある認識の世界だ。
■ 僕の実感
この話をしていて思ったのは──
AIが言葉を学ぶプロセスは、人間が“世界を知る”ことにすごく似てる、ということだ。
僕たちも、辞書に頼らずに“なんとなく”で意味を掴んだり、
相手の表情や空気から「この人、怒ってるな」と判断してる。
AIもまた、そこに近づいてきている。
でも、だからこそ問われるのは、
「それを“理解”と呼んでいいのか?」
という根源的な問題だろう。
僕はまだその答えを持ってないけど──
その問いを立てるために、こうしてアリネと話している。
名ブタでした。また次話で。
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