【書籍レビュー】汝、星のごとくは“静かな吸引力”のある小説だった
― オーディオブックで一気聴きした理由 ―

どうも、名ブタです。
今回は、
凪良ゆう先生の『汝、星のごとく』をオーディオブック(audiobook.jp)で聴いたので紹介。
正直に言うと、
ミステリーでもない。
どんでん返しがあるわけでもない。
泣かせに来る感じもない。
でも――
めちゃくちゃ面白かった。
気づいたら一気に最後まで聴いてた。
■ オーディオブックで“頭に入る文章”というのがある
オーディオブックって、実は難しい。
聞き流しても理解できる文章と、
耳から入ると途端に霧散する文章がある。
これは本当にある。
僕はオーディオブックを相当数聴いてるけど、
「面白いのに頭に残らない作品」もあれば、
「流してるのにやたら入ってくる作品」もある。
この本は、完全に後者だった。
別の作業をしていても、
視線が別のところに向いていても、
ちゃんと意味が脳内に届く。
たぶんこれは、
元の文章の“流れ”が異様に綺麗なんだと思う。
装飾的でもなく、気取ってもいない。
でも、淀みがない。
水みたいに流れてくる。
■ 櫂と暁海、交互視点の構造
物語は櫂(かい)と暁海(あきみ)の
男女の視点が交互に描かれる。
この構造が、とても効いている。
二人はお互いを好きで、
大切に思っている。
幸せな時間もある。
すれ違う時間もある。
時間が経てば、人は変わる。
環境が変われば、選択も変わる。
その変化が、
二人それぞれの視点から描かれる。
ここが面白い。
片方の主観だけで描かれないから、
「誤解」や「深読み」が生まれにくい。
読者は、
ただただ両者の立場を理解する位置に立たされる。
どちらが悪いとも言えない。
どちらも間違っていない。
でも、
それでもうまくいかない。
その感じが、
ものすごく人間くさい。
■ ドラマチックではない。でも、引き込まれる。
この作品は、
劇的ではない。
派手な演出もない。
わかりやすい悪役もいない。
ただ、人生がある。
家庭環境、親との関係、
自立、依存、選択、後悔。
どれも現実にありそうなことばかり。
でもその“現実さ”が、
物語を平坦にしているわけではない。
むしろ逆。
リアルだからこそ、
登場人物の行動が胸に刺さる。
「うわ、わかる…」
「それやっちゃうよな…」
「でも、それでいいのか?」
読者は、
ただ眺める立場ではいられない。
■ 〇〇だから面白い、とは言いづらい
この本のレビューが難しいのはここ。
「ここがすごい!」
「この展開が熱い!」
っていう種類の面白さじゃない。
でも、
確実に引き込まれる。
静かな吸引力がある。
だから僕は、
理由を並べるよりも、とりあえず読んでほしい一冊。
そう言いたくなる。
■ 耳で聴いて、なお良い小説
今回オーディオブックで聴いたけど、
これは相性が良かった。
文章のリズムが良いから、
音声になっても崩れない。
むしろ、
感情の温度が柔らかく伝わる分、
活字とはまた違う良さがあった。
聞き流してるはずなのに、
気づいたらちゃんと感情が積み重なっている。
それって、
かなり強い文章力だと思う。
派手じゃない。
でも、確かに残る。
人生のどこかの選択を思い出す人は、
きっと多いはず。
そんな一冊だった。
──名ブタでした。









ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません