社員を育てるなら、売上より利益を目標にした方がいい理由
――数字は人をどう動かすのか

どうも、名ブタです。
長らく、会社の業績が伸び悩んでいた時期があった。
原因を一言で言えば、社員の能力不足というより「数字に関する理解不足」だったと思っている。
そこで僕が考えたのは、
単純で、追いやすく、かつ本質を外さない目標を与えることだった。
理想・現実・予測の三点で年次目標を出し、
それを一年かけて追う。
そんな話を、偉い人に言ったことがあった……ような、なかったような。
ほどなくして、現場では「売上を重視しろ」というメッセージが強くなった。
分かりやすい目標だから、という理由だったと思う。
ただ、僕はずっと違和感を持っていた。
売上じゃなくて、利益を言わないとダメだと。
部下は「従順」である、という前提
ここで大事な前提がある。
普通の社員は、基本的に上司の指示に従順だ。
これは性格の問題じゃない。
人間の心理特性に近い。
この点を説明するのに、よく引用されるのが
**スタンレー・ミルグラム**の有名な実験だ。
ミルグラム実験が示したのは、ざっくり言えばこういうこと。
人は、自分の判断や違和感よりも
「正当な権威からの指示」を優先して行動する傾向がある
これを会社に置き換えると分かりやすい。
-
権威:上司・経営者
-
指示:数値目標
-
被験者:部下
つまり、
上司が「売上を目標にしろ」と言えば、部下は売上を最優先する。
たとえ、上司の本音が
「利益を出したい」
だったとしても、だ。
なぜ「利益を減らしてでも売上を伸ばす」のか
上司が売上目標を提示する理由は、たいていこうだ。
この売上水準まで行けば、
利益率が維持されていれば
目標の利益に届くはず
でも、この
「利益率が維持されていれば」
という前提は、ほぼ言語化されない。
結果どうなるか。
部下はこう考える。
-
評価されるのは売上
-
利益率は評価指標にない
-
原価や人件費は目標に含まれていない
なら、
利益を削ってでも売上を達成する
のが、最も合理的な行動になる。
これは部下が悪いわけじゃない。
そう動くように設計されているだけだ。
売上は達成しているのに、なぜ褒められないのか
この構造が生む、よくある現象がある。
-
売上目標は達成している
-
でも、あまり褒められない
-
怒られもしないが、空気が重い
社員からすると不思議だと思う。
でも経営者の側から見れば理由は明確で、
利益が出ていないから安心できない。
会社は売上では倒産しない。
利益が出なくなったときに倒産する。
だから、売上が目標に届いていなくても
利益が出ていれば、経営者は平常心を保てる。
逆に、
売上が伸びていても赤字が続けば、
経営者の焦りは強くなり、現場への当たりもきつくなる。
このズレに、多くの社員は気づけない。
利益を目標にすると、なぜ社員が育つのか
売上は、売上でしかない。
一方、利益を考えようとすると、自然と多くの数字が視野に入る。
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人件費
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原価
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固定費
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変動費
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光熱費
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設備費
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賃料
どこまで含めるかは別として、
利益は「構造」を見ないと計算できない。
だから、利益を追うようになると、
-
売上が厳しいなら、どこを削れるか
-
削ってはいけないコストは何か
-
売上以外の改善余地はないか
といった発想が自然に生まれる。
これはつまり、
社員が疑似的に経営を体験し始めるということだ。
利益至上主義が万能なわけではない
もちろん、利益を目標にすれば何でもうまくいくわけじゃない。
短絡的に人件費を削り、リストラを進めれば、
将来のノウハウや組織力を失うこともある。
だからこれは
「利益さえ出ていればいい」
という話ではない。
むしろ逆で、
利益をちゃんと考えるからこそ、切ってはいけないコストも見えてくる。
売上と利益の関係を、どう教えるべきか
売上を重視すべき局面があるのは、僕もそう思う。
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成長フェーズ
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市場シェアを取りに行く段階
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融資や外部評価を意識する局面
売上は会社のポテンシャルを測る物差しでもある。
ただし、社員教育の入口としては話が違う。
僕の感覚では、
-
売上の中に利益がある
ではなく -
利益の中に売上がある
利益を追うという前提があれば、
その手段として「売上を伸ばす」という発想は自然に出てくる。
逆は、歪みやすい。
結論:社員を育てるなら、まず利益を語れ
部下は従順だ。
だからこそ、何を目標に据えるかがすべてを決める。
売上を目標にすれば、
人は売上を作る。
利益を目標にすれば、
人は会社を生かす行動を考え始める。
社員を責める前に、
目標の設計を疑った方がいい。
それが、
売上よりも利益を先に教えた方がいい理由だ。
──名ブタでした。










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