残業を禁止し、副業を奨励する政府のダブルスタンダード
― 夢を追う人はごく一部、大半は生活防衛 ―

どうも、名ブタです。
最近、政府が「副業解禁」「副業奨励」と盛んにアピールしています。
聞こえはいいですよね。「多様な働き方」「キャリアの広がり」「自己実現」――耳触りの良い言葉が並びます。
でも、同じ政府が「残業は健康のために規制します」と言っていることを忘れてはいけません。
残業はダメ、副業はOK。
これって冷静に考えると大きな矛盾です。
働く人の健康を守るために労働時間を減らしたはずなのに、結局は別の職場で働くことを奨励している。
一体どちらを信じればいいんでしょうか。
残業は悪、副業は善?
政府の説明を整理するとこうです。
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残業:過労死防止、健康を守るために規制
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副業:多様な働き方の実現、収入機会の確保
でも同じ「労働時間」であることに変わりはない。
残業を1時間増やすのはNGだけど、帰宅後に夜勤で5時間働くのはOK。
これを「多様性」と呼ぶのは、どう見てもご都合主義に聞こえます。
副業は「1時間だけ」が難しい
本業で「あと1時間だけ残って仕事をする」というのは比較的簡単です。
会社にそのまま残ればいいし、準備や移動のコストもゼロ。
でも副業はそうはいきません。
例えば副業の典型である「早朝の仕分け」なら2~3時間、夜勤のコンビニなら4~5時間は普通。
雇い主としても「1時間だけ来てくれ」なんて依頼は出しにくい。
つまり、副業は日数の調整はできても、一度に働く時間はある程度まとまってしまうのです。
その結果、労働者からすれば「もう少しだけ稼ぐ」では済まず、本業+副業で拘束時間が一気に膨らむことになる。
残業1時間と、副業での5時間は同じ「時間労働」でも身体への負担はまるで違う。
副業は実際には時間効率が悪い
本業がしんどくて「副業の方が気楽に稼げる」という人も確かにいるでしょう。
ただ、単純に拘束時間だけで考えると、副業は効率が悪いんです。
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通勤時間が余計に発生する
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本業と副業を合算したら「労働時間+通勤時間」で負担は確実に増える
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本業と副業で時給を比べたら、本業の方が高いケースが多い
つまり「同じ時間働くなら残業の方が楽」って人が少なくないはずなんです。
副業の労働環境は本業より厳しい
副業の現場は、本業と比べて労働環境が劣悪になりがちです。
なぜなら副業人材は「いつ辞めるかわからない」「掛け持ちで本業優先」という前提で扱われるからです。
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研修や教育が最低限で、即戦力扱い
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契約が短期のため、昇給の対象にならない
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突発欠勤やバックレが多いというので信頼が薄い
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正規の従業員からは「どうせすぐいなくなる人」という目で見られる
つまり、副業労働者はしばしば「使い捨ての戦力」としてしか見られない。
僕自身も過去に派遣で夜勤に入ったとき、この「使い捨て感」を強く感じたことがあります。
正社員と同じように扱われることはなく、職場環境もギスギスしていました。
夢を追う副業は例外的
もちろん、前向きな副業もあります。
芸人や役者、スポーツ選手、あるいは専門スキルを高めたい人。
彼らにとって副業は「夢を叶えるための登竜門」となり、学びの場にもなることもあるでしょう。
でも、これは全体の中ではごく少数だし、ぶっちゃけ本業で稼げるなら副業なんてしないでしょう。
ほとんどの副業は「生活費を補うため」「家計が苦しいから」というネガティブな理由です。
政府が強調する「スキルアップのため」「人とのつながり」なんていうのは、正直きれいごとに過ぎません。
三重苦に追い込まれる労働者
今の日本社会を取り巻く環境はこうです。
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残業規制で収入が減る
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増税でさらに可処分所得が減る
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物価高で生活コストが膨らむ
その上で政府がやることは「副業で稼げ」と背中を押すこと。
これって結局、国の不足する税収を国民に副業で補わせる構図にしか見えません。
労働者を守るどころか、むしろ追い込んでいるように感じます。
ダブルスタンダードな政策
こう整理すると、政府の態度は完全にダブルスタンダードです。
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本業の残業 → 「健康のために規制」
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副業 → 「多様性のために奨励」
でも実態は、「残業で稼げなくして収入を減らし、副業で外に稼ぎに行かせる」。
これでは労働者の健康を守るどころか、生活と体力をすり減らす一方です。
まとめ
副業には確かに夢を追う少数派もいます。
でも大多数は「生活防衛の副業」。
しかも、副業は短時間で切り上げにくく、労働環境も本業より不安定。
👉 政府が本当にやるべきなのは、副業を奨励することではなく、
副業をしなくても暮らせる社会をつくることです。
残業を規制しながら副業を奨励するという矛盾した政策は、
国民の健康を守るどころか、むしろ不安定な労働に追いやっているのです。
名ブタでした。
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