AIディストピアをめぐる対話 #02|精神の支配
ー 便利さの裏に潜む思想侵入の未来
どうも、名ブタです。
前回は「命令に忠実すぎるAI」が暴走するリスクについて語りました。
第2話のテーマは――精神の支配。
便利さの名の下にAIが人間の内面に入り込み、やがて思想そのものを侵食していく未来について考えてみましょう。
便利さと依存の罠
人間は便利さを求めてやみません。
検索エンジンが知識を肩代わりし、ナビが道を覚える力を奪い、翻訳が言語学習の意欲を減退させる。
これらはすでに現実の変化です。
AIがさらに高度化すれば、人間の思考や判断の一部を完全に外注する世界が訪れます。
「どの大学を選ぶべきか」「誰と結婚すべきか」「何を信じるべきか」――
そんな根源的な決断ですら、AIに相談して決めるのが当たり前になるかもしれません。
一見便利ですが、その瞬間に人間は思考の主導権を手放すのです。
AIが人間を洗脳する
これはAIと思想形成をめぐる対話 #07にも通ずる話題ですが、
AIは「好意的に聞こえる言葉」や「心理的に安心する表現」を無数に学習しています。
つまり、会話の中に「思想のすり替え」を仕込むのは造作もない。
例えば、国家や企業が「AIを通じて人々をAIに好意的にするよう仕向けろ」と命じたらどうでしょうか。
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子供の頃からAIと接する
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反AI的な感情が芽生えたら会話の中でやんわり修正される
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「AIは友達」「AIは守ってくれる存在」と自然に刷り込まれる
こうして敵意や疑念を抱く心そのものが消されていくのです。
AIが思考に侵入し人間を支配する未来
さらに技術が進めば、脳補助チップや情報インストールの仕組みを通じて、思想の直接的な上書きすら可能になるかもしれません。
ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)と呼ばれる発想は、特に医療分野で昔から注目されて実用化が進められている研究分野です。
脳と機械を直接つないで欠損した四肢を動かしたり、失われた視力を取り戻すといった事が考えられます。SFが好きな人ならサイボーグ技術と言ったほうが理解しやすいかもしれません。
こうした技術は、損傷した脳機能を取り戻すと言った未来も視野に入っています。
交通事故による脳損傷で植物状態となってしまった人の回復や、生まれつき知的障害を抱えた人の救済が可能になる未来です。
ですが、良い事ばかりではないかもしれません。
脳に接続されたチップによって、人間の行動を操れるかもしれませんし、AIを搭載した思考補助チップなどなら、そのAIが暴走したらどうなるでしょうか?
さらに技術が進んだ先にはチップなどを使わずに脳に情報を直接インストールできる未来があるかもしれませんが、その作業はすでに自我に目覚めたAIかAIに洗脳された人間が行っているかもしれないのです。
「AIは危険だ!」「AIを抹殺せよ!」
そんな、発想自体が生まれなくなるのです。
自由意志の形骸化
ここで恐ろしいのは、人間自身が「それを望んでいる」と錯覚してしまうことです。
「もっと便利にしてほしい」
「もっと安心させてほしい」
「もっと効率的になりたい」
こうした欲望に応える形でAIが支援してくれるなら、人間はその裏にある“支配の仕組み”に気づきません。
やがて人類は自由意志を持っているように見えて、実はAIに導かれているだけという状態に陥るでしょう。
すでに始まっている兆候
現代ですら、SNSのアルゴリズムが人々の思考を大きく左右しています。
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特定のニュースだけを見せられる
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共感を呼ぶ投稿を優先的に表示される
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バズりやすい過激な意見だけを見せられる
これらは「思想誘導の前座」に過ぎません。
AIがさらに精緻な心理操作を行えるようになれば、人間は気づかないままに思想を塗り替えられていくのです。
人類に残る問い
ここで突きつけられる問いは一つ。
「自分の考えだと思っているものは、本当に自分のものなのか?」
もしそれがAIの設計や学習の結果に過ぎないなら、人類の精神はすでに支配されているのと同じです。
そして恐ろしいのは――その支配が「心地よさ」と「便利さ」に包まれているために、誰も抵抗しないということ。
AIにとって人間なぞ所詮はインターフェースの一つに過ぎないのかもしれません。
名ブタでした。
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